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小説家

朝井リョウさん

たまに、不安になる。こんなに沢山の音楽がある中、十二の音が組み合わさるパターンなんて、もう、全て見つかってしまっているのではないかと。聴いたことのないメロディなんて、もう存在しないのかもしれないと。

だけど、『赤い公園』の音楽に触れると、そんな不安はどこか遠くへ消し飛んでしまう。彼女たちの奏でる曲はいつも、音楽にはまだまだ無限の可能性があるという見失いがちな事実を、眼前に差し出してくれる。両手に握った音符を楽しそうに組み合わせる彼女たちを目の前にすると、こんなメロディがあり得たのか、こんな演奏があり得たのかと、驚くほかなくなるのだ。

今回は一体どんな音楽を聴いてしまうのだろう――新曲を再生する前に、そんなふうにいちいち緊張させられるアーティストは、『赤い公園』だけかもしれない。

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写真提供:文藝春秋